古本屋でペット関連の書籍を物色中、ある本が目に付く。
動物の行動学の第一人者でノーベル賞受賞者のローレンツの『ソロモンの指環—動物行動学入門』です。
愛玩動物飼養管理士1級の講義を受講した際に紹介されていたことを思い出し、せっかくなので買ってみた。
犬のご先祖様についての部分だけ流し読みしてみる。
行動学から見れば、犬はジャッカル系とオオカミ系に分かれるらしい。
ネットで調べてみると、ローレンツの行動学からの祖先の分類は今は否定されているようだけど、『ソロモンの指輪』を読んでいると納得することも多かった。
DNAからしても柴犬はオオカミに近いらしいけど、オオカミだと思えば千春の問題行動も理解できる。
ジャッカル系の犬は飼い主だけでなく誰にでも人懐っこい。
ドッグ・トレーナーに預けて訓練を受けて飼い主のところへ戻っても、飼い主の言うことをきく。
オオカミ系の犬は一人の人に忠誠し、飼い主が亡くなったり、リーダーだと認められなければ一匹狼を選ぶらしい。
ドッグ・トレーナーに訓練を丸投げしてしまうと、ドッグ・トレーナーの言うことしかきかない犬になるらしい。
なるほど……柴犬って割と頭のいい犬種だと思っているけど、使役犬や競技犬として用いられない所以はこういうところなのかもしれない。
そして、千春が仲間(家族)以外の人や犬に興味を持たないどころか敵と見なしている点も理解できた。
臆病で内弁慶な性格だけじゃないのかも。
わたしもケントも誰とでも気さくに打ち解けるタイプではないので、そんな飼い主を見て、頼りなく感じる千春は、「ちぃがケントとユウを守ってあげなきゃ!」とリーダー気取りでしゃばっているのかも。
家に迎え入れた人なら、全くの赤の他人である業者の人でも大丈夫なんですよね。
そして、千春は新しい飼い主に媚をうってまで馴染もうと努力することはないように思う。
飼い主の思い上がりではなくって、千春がわたしやケントが好きというわけではなくって、自分というプライドを持っていることはなんとなく感じる。
ほかにもノーリードでお散歩しててもきちんと飼い主の後を追う犬や、家から出ても脱走せずにじっとしている犬を見てて、どうして千春はそれができないのかと疑問だった。
誰もがドッグトレーナーの指導を受けているわけではないだろうし、そういう犬は座敷犬(小型犬)が多いので、犬種特有なのか? と色々と考えていた。
千春のことをよく言えば機敏で好奇心旺盛なんだけど、悪く言えば落ち着きがなく、自分本位。
ノーリードでお散歩させれば、飼い主の目の届くところにいるけれど、ふらふらと自分の好きなように行動して、従順に後を付いて来ることはない。
家の前でノーリードでじっとしていることもまずないと思う。
家から脱走して、マンションの階段を上がったり下がったりしてはしゃいでいたことがあったし……。
それもジャッカル系とオオカミ系の違いなんだそうです。
オオカミ系の犬は大型のネコ科の猛獣と同じように自分を持っているので、自由な状態で飼い主に付いて歩くなんてことができないんだとか。
そうなるとしつけ方も変わってきますよね。
ジャッカル系は人が犬にあれこれ教えてあげればいいんだけど、オオカミ系の犬はそう簡単にはいかない。
あれこれ教えてあげても、
「コイツ、ウザい」
「おまえなんてリーダーだと認めたくない」
と思われてしまえば、どんどん人と犬に距離が出来てしまう。
経験上、欧米式のトレーニングは柴犬には不向きだと思っているけれど、その通りなのかも。
オオカミ系の犬を飼って、犬に忠誠を誓ってもらった飼い主は二度とジャッカル系の犬は飼えないとローレンスは述べています。
「もう柴犬以外は飼いたくない! 柴犬愛してる〜!」
という気分に一度でもなってみたいものです。
千春がわたしにもケントにも忠誠心を誓っていないのは丸分かり。
まぁ、それは自分のせいで、千春は悪くないのですけど。
千春が我が家に来て、柴犬が好きになったけど、だからと言って、柴犬を迎え入れてよかったかと聞かれればノー!
自分の勉強不足で犬種選びに失敗したと反省している方が大きいです。
ラブラブわんこライフが夢だったし、今でもできれば千春とラブラブしたいと望んでしまっている。
諦めが悪いですけど。
昨日、母と食事に行っていて、
「最初の育て方が悪い」
ときついお言葉をいただきましたが、わたしもケントもにっこり笑って、
「育て方が悪かったかもしれないけど、噛み犬だって千春がいいもんねっ。千春が可愛いもんねっ。千春でよかったもんねっ。ほかの犬が欲しいなんて思わないもんねっ」
と堂々と言えるようにはなった。
母は顔を曇らせていたので、「それが甘いっていうんじゃー」とでも内心思ってそうでしたが。
犬と楽しそうに暮らしている家庭を見ていると、正直とても羨ましい。
だけど、その犬を飼うことが羨ましいわけじゃない。
それが柴犬であっても。
わたしとケントにとっては、千春と暮らすことが幸せの根底。
それに犬と暮らすことは楽しいことばっかりじゃないだろうと思う。
多分、色んな苦労もあるのだろうと思う……所詮、相手は獣なのだから。
わたしは楽しいことだけ書いて幸せアピールできるほど出来た人間ではないので、このブログで正直に愚痴って、不安を解消しています。
DNAと行動学の研究が進んで、もっと人が犬のことを知れるようになるといいですね。
いつか人間がソロモンの指輪を手にいれられますように。
それまでの間、わたしは千春とピノと会話するための、自分だけのソロモンの指輪を探してみようと思います。
ほかに犬に関するものは散らばって書かれているようなので、ぼちぼち拾い読みしてみます。
にしても、翻訳本は苦手……独特の言い回しに馴染めない……。
・イヌの起源/ウィキペディア
・動物行動学研究室/東京大学大学院獣医学専攻 ・応用動物科学
東大では、行動治療カウンセリングを行っているそうです。いいなー。
犬の性格と遺伝子、特に攻撃性についての研究のため、Web上で毛のサンプル提供を募集してます。
柴犬も対象になってます。
うちも協力してみようかな。なにやら検査結果ももらえるらしい?
イヌ・ウマ・ネコの気質に関連する遺伝子の探索/東京大学大学院獣医学専攻 ・応用動物科学
追記:この記事を書いた当時と内容が変わってるかも(未確認)
東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医動物行動学研究室
PDFの16ページに、柴犬、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、マルチーズ、ミニチュアシュナウザー、ウェストハイランドホワイトテリア、秋田犬の7種の反応性(興奮性,一般活動性,子供への攻撃,過剰咆哮,愛情要求から構成される)と攻撃性(縄張り防衛,警戒咆哮,イヌに対する攻撃,飼い主に対する優位性から構成される)についての結果が簡単にまとめられています。
読んで、「柴犬のガウガウは仕方ないね〜」と納得。
しつけでなんとかならないのなら、遺伝子のせいにしてしまおう(笑)
今日、色々と文献を読んでみて、心が少し軽くなりました。
ペットブームに流されて、しつけなければならないと思い込んでいたけど、オオカミ系だの遺伝子だの言われたら、正直、しつけに限度がある。
飼い主がそれを理解して、それを逆手にとって上手く操る方法を身につけなくてはいけないってことだよね。
獣医さんもドッグ・トレーナーさんもトリマーさんも、知識や経験から、問題行動(シャンプーやブラッシング嫌い、反抗など)も、「柴犬だからね」で済ませてくれる。
柴犬一匹じゃ、犬種関係なくほかの犬と比べてしまって、ダメ飼い主だなぁ、わたし。
もっと柴犬らしい性格を尊重します。
コメント
オオカミ系と、ジャッカル系、とっても納得です。
小型愛玩犬を飼ってる人に、私がしっかりシツケられないのをダメ出しされたりもしてますが、
犬種や系統による違いも分かってほしいなぁ…
私は、忠誠も誓われてないのに「柴犬ラブー!」になってしまいましたが(笑)、柴犬が好き
なんじゃなくて、千春ちゃんが好きっていうユウさんたち、とってもステキに感じます!
犬種とか、小沢さんもおっしゃっていた生まれながらの気質があるのを分かってもらえず、肩身が狭かったり、恐縮してしまったり、色々ありますね、こんな犬を飼ってると(笑)
うちの場合は、接し方が思いっきり間違っていた責任があるので、一生嫁に出さず、箱入り娘で育てます(笑)
やっぱり「うちのコ」になってしまえば、何でも可愛いものですね。
つくづくそう思います。
いつか忠誠を誓ってもらえるよう、お互い頑張りましょうね。
>それに犬と暮らすことは楽しいことばっかりじゃないだろうと思う。
多分、色んな苦労もあるのだろうと思う……所詮、相手は獣なのだから。
わたしは楽しいことだけ書いて幸せアピールできるほど出来た人間ではないので、
はじめまして。
楽しいことメインにブログ書いています。
というよりも、楽しいことだけというわけではなくて本当に楽しいのですよ。
柴犬を迎えてからの苦労よりも、迎える前のほうが遥かに苦労したのですよ。
ネットという便利なものがあるので、フルに活用しました。
しつけ本は参考程度に、実際に柴犬と暮らしている方々の日々の出来事。
しつけの成功例、失敗例。苦労、喜び。半年かけて、毎日毎日読みあさりました。
努力すれば見えてきたはずですよ。犬には必要以上の厳しさは必要ないと。
本でもネットでも、たくさんの犬育ての情報がありますから。
それでも不安が付きまとい、お迎えするのをやめよう、やっぱりお迎えしよう。
その繰り返しの日々でしたよ。お迎えする前のほうがずっとハードな日々でした。
愛犬は、大変素直です。よく言われているように、柴犬は本当に忠犬で賢いと実感していますよ。
幼犬の頃の苦労といえば、甘噛みやいたずらでしょうか。
ルールを覚えてもらうまでの苦労でしょうか。
その1つ1つの過程がまた楽しい毎日なので、あえて苦労として書くほどのことではないのですよ。
幸せアピールしているように見えてしまうことは、残念ですね。
私も色々な文献を読み漁ったひとりですが、知識だけ詰め込んでも
愛犬は振り向いてくれないと、実際に育てて感じております。
所詮あいては獣だから。そういう言葉が出る時点で、アウトのような気がします。
そう思う気持ちが、愛犬に伝わるのですよ。
名前ふせてごめんなさいね。
必要ならあとでお知らせいたします。
ずっと気になるブログさまで、愛読しておりました。
色々な状態の千春ちゃんを愛されている姿、影ながらずっと応援させていただておりました。
今回の記事は、少しだけ悲しかったです。
「柴犬飼いのひとりです」さんが楽しく過ごされているのはとても素敵なことだと思います。
「獣」についてはそのまま捉えられても困るのですが(わたしの言葉の悪さはブログを通して見てもらえば分かると思うので)、人に飼われている犬でも他人を襲ったニュースが時折流れるように、犬はその気になれば人に危害を加えられる肉食獣です。
狂犬病が犬を通して広がるのは、犬が「噛む」という習性があるから。
野良猫は放置だけど、野良犬は捕獲するのも、そういうことらしいです。
「柴犬飼いのひとりです」さんの愛犬ちゃんのことを言っているわけではないので、「うちの犬は違う」とスルーしておいてください。
自分が見たり聞いたりする限りでは、愛犬と楽しい日々を過ごしていても、「すぐ吠える」「時々噛む」「粗相をする」とか、こっそりつぶやかれていたりして、大なり小なり気になることがあるようなので、そのことを書きました。
「幸せアピール」という書き方は語弊があったかもしれませんが、自分には愛犬の問題行動を隠してまで楽しいことは書けないので……それをすることが自分にとっては「幸せアピール」ということになるという意味です。
特別、誰かを特定して書いているわけでもなく、「柴犬飼いのひとりです」さんのことも言ってませんので安心してください。
犬の性格も色々だし、飼い主さんの性格も色々だし、サイトやブログの運営方法も色々だし、問題行動についての捉え方も人それぞれだと思っています。
少なくともわたしは苦労を苦労と感じます。
「噛む」という問題行動も悩みです。
だけど、愛犬との暮らしが嫌なわけではないです。
愛犬とずっと一緒に暮らしたいと思わなければ努力もしませんし、愛犬のことが好きでなければこんなブログもやっていませんよ。
いつか千春の問題行動が解消されて、楽しいことばかりかけるようになるのが夢です。
そういう意味では、「柴犬飼いのひとりです」さんが目標です。
おはようございます。
>愛犬とずっと一緒に暮らしたいと思わなければ努力もしませんし、愛犬のことが好きでなければこんなブログもやっていませんよ。
そうですね。ここのところ、なぜ抜けてしまったのか自分でも不思議です。
愛情の感じられるブログなので寄らせていただいていたのですからね。
言葉は難しいですね。
私もよく人に、柴犬は毛が大量に抜けて大変だと悩みのように話ますが、実はこれっぽっちも大変だと思ったことないのです。
友人はたぶん、私が悩んでいると思っていることでしょう。愛犬に対して悩みなど実はないのですけどね。
これと同じですね。
今日も一日、愛犬との生活を色々な形で楽しみましょうね。
お返事どうもありがとうございました。
「柴犬飼いのひとりです」さん、とても心が広くて、優しい方なんですね。
だから、きっと愛犬もいいコなんだと思います。
飼い犬が違えば、犬に対する見方も色々変わってしまうのかも。
千春のおかげで犬は怖い生き物だと認識して、「犬は犬」という意識も更に高まってしまったけれど、それとは別にして、千春は家族だし、「娘」だと擬人化してしまうこともあるし、犬が好きなのも全く変わりません。
根っからの犬バカですね。
今は人から見れば当たり前のことにでも大きな幸せを感じていたりするので、千春と共に幸せレベルを上げて、毎日楽しく過ごせるように頑張ります。
ありがとうございました。